![]() 干支(えと)の「十二支」には身近な十二の動物が割り振られて、「辰」には「竜」が当てられているが、これだけは身近というより、日頃おなじみの架空伝説上の動物である。 海底の竜宮城に住み、天に昇って干天に慈雨をもたらす恵みの神であるが、ひとつ間違うと竜巻、洪水となって人を懲らしめる。龍神信仰は水の神として各地に祭られ、伝説が伝説を生んで、日常生活にも縁が深かった。 ところが、その具体的なイメージとなると、各地域、時代さまざま、絵描きの空想を掻き立てたが、昨今の年賀状には、「竜の落とし子」に落ち着いてしまった。 ![]() さて、本堂の衝立の表裏のこの龍神。子供たちのいたずらか、手垢手擦れにまみれてお蔵入りになっていた。今年の干支に因んで、久方ぶりに陽の目を見たが、作者は不明。その昔、旅周りの絵描きが、この寺に逗留して絵を描き、売りさばいて立ち去る際に、宿賃の代償として置いて行ったものらしい。 ここまではよくある話だが・・・、 この竜がある日衝立から抜け出し、天に昇って、乱れた世を払う慈雨となって降り注ぐといった、初夢のような話が現実となる時代はもうやってこないのかなァ。
冬になってしまえば、雪も降るし氷もはる。
そうなればそうなったで心も決まるが、そこに行きつくまでは、「いつしか冬に」と言ったのんびりしたものではなく、何か怖いものに立ち向かう心構えみたいなものに迫られる。 動物の中には早々と冬眠を決め込むものもあるが、その緊張の中にも美しいものを求める心のゆとりが、文化を織りなしてきた。 源氏物語にも、枕草紙にも、西鶴にも・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 石蕗(つわ)、水仙、山茶花(さざんか)、野菊,八つ手と、 冬を待って咲く花は、寒さに耐えて、花期が長い。
春の花は香りを添えて昆虫を誘うが、秋の実りは鮮やかに色づいて小鳥たちを呼ぶ。
中には「団栗」「椎の実」と素っ気ないものもあるにはあるが、華やかな春に比べて、万事、秋は賑やかな季節である。 思いつくままに「スポーツの秋」「文化の秋」「読書の秋」「行楽の秋」「食欲の秋」「実りの秋」・・・・と、挙げれば限がないばかりか、創りたければいくつでも。 色も音も千差万別、春、夏、冬はこうはいかない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() からす瓜、さんしゅゆ、ピラカンサ、せんりょう、柿、ざくろ 春の花が、実りの季節を迎えた。 個性豊かに人生仕上げの季節でもある。
祭りは夏の季語である。その都の夏の祭りがすっかり観光化してしまって地方にまでおよび、神仏そっちのけの“お祭り騒ぎ”になり果ててしまったが、いま田舎では秋祭りのシーズンである。
もともと「祭り」は秋のもの、秋の収穫後に、新穀を供えて神に感謝し、今まで田にあって守護してもらった神が、山に帰られるのをお送りするのが「祭り」であった。 垣を刈り 辻の草刈る 秋祭 秋桜子 近代化されても秋の実りは天候次第、素朴に感謝を捧げる心は失われていない。 ![]() ![]() ![]() 賑やかな“お祭り騒ぎ”にも、これを神に捧げる敬虔な心情が込められていた。 年も豊年万作で 村は総出の大祭り どんどんひゃららどんひゃらら どんどんひゃららどんひゃらら 夜まで賑わう宮の森 神に供えるものだから、太鼓も笛も、そして歌も踊りも、素朴であって、しかも洗練されてスマートでなければならない。下手なものはお供えできない。そのためのリハーサルを「稽古」という。 純真な子どもの出番である。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 祭が過ぎた こほろぎ もうおまえの夜ばかりだ 白秋 こんな「お祭り」がまだ田舎には残っている。 戸木の「敏太神社」で。 神様を送り出した後、お神酒のお下がりの酒盛りが「後の祭り」。神様はお留守だから何を願っても無駄と。・・・ついでに。
秋の彼岸に合わせて咲くから「彼岸花」には違いないが、そのネーミングの手抜きに馴染めなくて、仏典を探れば「曼珠沙華」。それも「まんじゅさか」と梵語の音で読みたいが、「マンジュシャゲ」となるとまた俗に落ちる。
となると俗に徹して「舌曲がり」(したまがり)。この方がこの花のイメージに近くて、通りがいい。 花が先に咲いて実を結ばない。花の終わるのを待って葉が伸びる。と、出しゃばりで冗舌であるが、古来この花は不吉な連想を誘い、忌み嫌われた。田舎の墓地(さんまい)に群生して、それが土手、畦道にあふれている。 飢饉に備えて村はずれの空き地に植え、その球根を晒して主食代りにした。毒性が強くて、間違うとあの世行き、だから「彼岸花」「死に花」とも? 今では群生地が観光名所として見直されている。 今年は白い花が先に咲き、赤い花の本番に引き継いだ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
送り火を済ませて、地蔵盆になると秋が来る。
田圃の稔りの秋にはまだちょっと早いが、畑では西瓜と南瓜が転がっている。秋の実りの走りである。 スイカは読めても、南瓜はどうか?「とうなす」「なんきん」の呼び名もないではないが、「南瓜に目鼻」「南瓜野郎」には悪いが、これはどうしても「カボチャ」でなければならない。 この春、苗を貰って育てたら、こんな実が生った。 甘い西洋南瓜を栗南瓜と言って、それが味付けの面倒な日本南瓜にとって代ったのは戦後間もない昔の話だが、赤いのやら長いのやらをひっくるめて「カボチャ」と言ってしまえば、南瓜野郎が泣くではないか。 「南瓜に目鼻」はハロウィンに譲るにしても。 通説として「カンボジア」を意味する Camboja (カンボジャ)の転訛であるとすれば、マァどうでもいいことだが・・・。 ついでにもう一つ。カボチャは採って一カ月寝かせておかないと甘くならない。 秋の味覚より冬至のカボチャである。 ![]() ![]() ![]() ![]() 実りの秋と言っても、今年は栗が生り過ぎてこんなありさま。 どれだけ木に留まることやら・・・。 ![]() ![]()
さすがは熱帯の花である。春先の低温に耐え抜いて、芽吹きも立ち葉も遅れに遅れて気を揉ませたが、天の采配には抜かりがなく、〝お待たせ〟とばかりに、早い梅雨明けと連日の真夏日に恵まれて、この連休に合わせて一気に咲き揃った。
寒いとか暑いとかで気を揉むのはこちらの勝手で、天然自然はいつかはきっと帳尻を合わせてくれる。こちらの都合だけを自然に向けると後始末がつかない。 ![]() ![]() ![]() ![]() 花の気配を嗅ぎつけて、真っ先にやって来るのがミツ蜂である。 このミツ蜂、「ミツ」は「摩訶般若波羅蜜多心経」の「蜜」で、このハスと同じインドからの渡来の縁は深いが、レンコンの池から花粉を運んでくるので、実生のハスは元「大賀ハス」、鉢で管理の根分けのレンコンが純『大賀ハス』。この頃は池のハスも「大賀ハス」で通っているが・・・。 ![]() ![]() ![]() ハスの花びらは3日で散るが、ことし最後の莟は8月まで頑張りそう?
新緑にはちょと早いが、満目荒涼たる冬景色から目覚めて、「木の芽張る」季節である。
木々おのおの名乗り出でたる木の芽かな 一 茶 今年は折しも、この時期に合わせて、未曾有の天災地変、それに付け込まれるように人災までが加わって、満目荒涼では済まされない毎日が続く。 歴史をたどれば、古くは、末法末世の飢饉、大地震(ない)、疾風(はやて)、大火を、都では、木々の芽吹きを力にくぐり抜け、近く広島、長崎では原爆の瓦礫の中に甦る樹木、雑草が奇跡の復興を助けた。 さくら ![]() もみじ ![]() すおう ![]() おおやまれんげ ![]() やまぶき ![]() おうばい ![]() りきゅうばい ![]() かき ![]() 過酷無情な自然も、「木の芽張る」季節を忘れてはいない。 さて、天災と人災。 自然と人間の力比べを、お手並み拝見とばかり傍観してはいられない。
雪国の人には申し訳ないような話になるが、この地方では真冬よりも早春に雪の降ることが多い。
気象的には、春雨となるはずのものが、気まぐれな寒気の南下で、水気の多いボタン雪になる。 降る端から融けていくから、水源を満たし、田畑では作物を育み、虫や病を抑えて春を迎える恵みの雪である。 ![]() ![]() ![]() ![]() 「春の雪」と括弧で括れば、白楽天の「兎園の春雪」、それを受けて清少納言の「雪のいと高うはあらで」、和歌、俳句にも引き継がれ、いやそれよりも最近では、三島由紀夫の「豊饒の海」・第1巻『春の雪』の映画化「儚くも 美しい 悲恋」、 それらに重ね合わすと、話題にはこと欠かない。 ![]() ![]() ![]()
西高東低の気圧配置となり、等圧線に沿って平行に吹く風に乗って、大陸の寒気が南下して拡がってゆくと、こちら太平洋側でも、凛々と冴えわたる晴天は束の間で、山も里も陰鬱な冬の雲にまみれる。
雪国に限らず、寒さに無防備な日本の家屋では冬籠り、暖房完備がそれに輪をかけて、いよいよ自然との交流が疎遠になる。 ![]() ![]() ![]() 初夏、終日陽の目を見ないで梅雨空の鬱は極まるが、この冬の雲は、夏の積乱雲のなれの果てか、モノクロの濃淡が刻一刻と変化し、時には青空を覗かせ、また時には退散して晴れたり曇ったり、天気予報を撹乱させる一時の晴れ間が、暗欝な思いを一気に吹き払う。 冬の雲はこの世の事物の透明度をさりげなく演出する。 ![]() ![]() ![]()
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